三国志〈4〉
吉川 英治
講談社 刊
発売日 1989-04
詩的なほどに美しい、曹操と関羽の覇陵橋での別れ 2007-04-23
「江東の小覇王」孫策が若くして病に倒れ、さらに若い弟の孫権が呉を引き継ぐ。中原に目を転じると、曹操が河北の袁紹を遂に滅ぼし、中華制覇の野望をその視野に入れる。劉備は国力、兵力ともに相変わらず微小で、天下から程遠い位置にありながらも、「三顧の礼」をもって、諸葛亮を軍師に迎え入れることに成功する。いよいよ、「三国志」の型が形成され始め、物語は佳境へ突入していきます。
この第四巻には、そうした歴史の激動とともに、この物語のターニングポイントとなる幾つかの印象的な邂逅と別離が描かれています。曹操と関羽の覇陵橋での別れ、曹操の姦計による劉備と徐庶の別れ、そして言わずもがなの「三顧の礼」。この中でもとりわけ、曹操と関羽の別離の様は、詩的といえるほどに美しく、息を呑みます。関羽の旧主劉備に対する不変の忠義、彼の武と義をあまりに愛するがゆえ、見送らざるを得ない曹操。彼はこうなることを分かっていながら、一縷の望みを賭けてひたすらに関羽を渇望し、そんな曹操の胸中を察する関羽もまた見事なまでの武人らしい信義を通した上で、袂を分かちます。曹操のような男に仕えたい、あるいは、関羽のような男を手中にしたい。男であるならば、ある種の羨望交じりにそう思わせる、個人的には三国志で最も好きなワンシーンです。
孔明はスゴイ! 2007-03-26
孔明登場。孔明が活躍する様が描かれ始める。これまでも、劉備だけでも素晴らしかったが、天才軍師が出てくることがいかに凄いことか、まざまざと見せつけられる。戦の読みは恐ろしく深い。
孔明の登場! 2006-01-06
吉川英治の『三国志』はその「熱さ」において、他の作品と一線を画していますが、
この第四巻はまさに「いよいよだな」と手に汗を握る展開に期待を膨らませる巻です。
関羽好きにはたまらない、曹操のもとからの「決死の千里行」。
関羽のほれぼれとする行動も熱くていいのですが、
そんなに劉備っていい奴なの?と「人徳」というものを考えさせてくれます。
そして三国志の主人公(?)である諸葛亮孔明の登場。
劉備が「脾肉の嘆」にくれていたときに孔明を知り、
「三顧の礼」で丁重に軍師孔明を迎え、
「水魚の交わり」をもって理想を語り合い、
「天下三分の計」をもって赤壁の戦いに向かっていく…。
これぞロマン!
わくわくしながら一気に読み進む巻です。
いよいよ孔明出盧 2005-12-29
この巻は、曹操の下に身を寄せていた関羽が、
劉備の生存を知り決死の旅を切り抜け、劉備一党
は劉表の許へゆく。そこで孔明と出会い、南下す
る曹操との対立から徐々に赤壁の戦いへの流れを
導いている。
読みどころは、関羽の決死の路程、孫権による
呉の充実、劉備と孔明の交わり。
漫画で知っている内容でも、活字だとまた一味
違いますので、漫画だけで満足したという方にも
お薦めします。
孔明登場、その他にも見所満載 2005-06-30
結局関羽を引き止められず、去られてしまう曹操。曹操を振り切って赤兎馬の乗って駆け去る関羽が憎たらしく思えます。曹操にもらったもの全部置いて行くのなら赤兎馬も返してなんて、叫びたくなるのは私だけかなあ。関羽にわざわざ別れを言いに出かける曹操に、彼の部下ならずとも嫉妬と歯がゆさにいらいらしそう。郭嘉を失って涙するくせに、部下に進められるまま偽手紙の策略を用いて玄徳の軍師を用いようとするようなところが、一思慮足りない感じで曹操好きとしてはため息。玄徳のような芯の通った優しさが足りないのかなあと嘆息。
全体の流れは、孫策に代わり弟孫権が後を継ぎ、猿紹は曹操に破れ、ついに孔明が登場し、目まぐるしい展開です。
将となる人よりもそれを取り巻く臣が個性的で面白い。関羽・張飛よりも三国志を読むまで名前も知らなかった臣下達の、それぞれの主人に対する想いとその忠義の表し方に興味津々。主人に向かいその怒りを恐れることなく諌言する部下あり、小さな怨恨から忠臣を陥れ主人を危機にさらす者、部下の進言を聞きいれなかったばかりに命を落とす将、部下を信じてその感謝の念を忘れない将など、主人・臣下どちらが無能でも立ち行かないのだなあと実感します。
孔明の描き方はなんとも魅力的。「一語一語に、何か香気のあるような響き…その面は玉瑛のよう…眉に江山の秀をあつめ、胸に天地の機を蔵し、ものいえば、風ゆらぎ、袖を払えば、薫々、花のうごくか…」といった具合で、青年を表するというより麗人のよう。孔明、吉川栄治に愛されているなあと感嘆しました。孔明ファンが増えるわけです。
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