英国人写真家の見た明治日本―この世の楽園・日本
ハーバート・G. ポンティング
講談社 刊
発売日 2005-05
わたしたちはとても大切なものをなくしてしまったのかもしれない 2007-02-24
江戸から明治の頃の日本に興味があって、
当時の日本を訪れた外国人が記したものを適当に漁っているなかで
手に取った1冊である。
著者のポンティングは、大英博物館にも作品が収められている
イギリスの著名な写真家だそうだが、
本書はそのポンティングが1902年から1906年頃の日本を訪れ、
各地をまわって写真をとり、紀行文を書いたものである。
なにしろ写真が素晴らしい。
ほんとうに素晴らしい。
富士、宮島、日光、阿蘇といった代表的な景観から、
芸者、僧侶、飾り職人、海女などの市井の人物まで、
本書の魅力はこれにつきる、といってよい。
この百年の間に私たちは、取り返しのつかない大切なものを
なくしてしまったのかもしれない、そんな感慨にとらわれた。
ちなみにp244の芸妓が観月ありさに似ている。
百年前にも現代的な美人がいたんだと感心した。
気持ちの良い本 2005-06-29
久しぶりに気持ちの良い本を読んだ。明治の日露戦争前後に日本を旅した英国人写真家ポンティングの旅行記である。日本人と日本文化を極めて好意的に紹介しており、日本人に生まれたことを誇りに思え、また嬉しく感じた。日本の職人、京都や富士山、鎌倉などの有名観光地、はたまた日本女性など、いろいろな日本の”美点”が紹介されている。そして、当時の一般社会の風俗や習慣を肌に感じることができる。なかには知らないことも多くあって、目から鱗が落ちることもしばしば。たとえば、富士山の中腹にある「馬返し」。これは急坂で馬が登れないという意味と思っていたが、実はこれ以上は神聖な場所なので、馬を入れてはいけないという意味だという。
また、長岡氏の訳の上手さ(日本語文法上の誤りは散見されるが)と日本語の美しさにも注目したい。上品に愛情込めて書かれた(に違いない)ポンティング氏の文章の雰囲気が訳文にも活き活きと写されている。
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