逆説の日本史〈9〉戦国野望編
井沢 元彦
小学館 刊
発売日 2005-05
バカ向けの馬鹿が買う本ではない。偏見のない良識ある人が読む本です。 2006-04-03
井沢氏の本を良く読めば解って当然なのですが、彼は言霊を否定はしていません。言霊や怨霊信仰などをぬきにして歴史の真実は語れないと啓示しているのです。中にはやや甘い部分も見られますが、彼の歴史に対する考え方は、教科書(受験知識でしか歴史を知らない人間)や文献主義の歴史家たちには一石を投じたと思います。文献と言ってもエビデンスなるとは限らない。歴史は人間がいろんな思惑を持ち、それによって
作られた結果であり、当然その当時の心の内を抜きにしては語れない事が彼の今までの著書を読んできてあらためて認識させられた。
人の営みの本質は変わらない 2005-11-06
逆説の日本史9巻、「戦国野望編」は、琉球王国、倭寇、戦国時代の実力主義、武田信玄の限界、織田信長の野望と盛りだくさんです。
最初から比べるとだいぶ時代が下ってきて、とくに戦国時代ならではの個性的な役者ぞろいで、一気に読めてしまいます。また時代が下ってきて、古代のものに比べると資料が豊富にあるためか、キャラクターがますます生きいきとしています。氏の視点は、いつの世も人の営みの本質は変わらない、という哲学に基づいているようです。なんでも鵜呑みにするのではなく、特に公式発表などは、まずは疑ってかかること、またどうしてそういう発表のしかたになっているのか、その裏の裏まで読んでみる、そんな知的努力が必要だ、そんなメッセージがこめられているように感じました。
日本という共同体を考察する上での、これが正しいかどうかは別として、有効な視座を提供してくれるように思います。
いよいよ織田信長登場 2005-08-21
9巻が文庫化となりました。いよいよ織田信長の登場する時代に突入しました。
織田信長の先見性や天才性の分析がなされています。
エポックメイキングな人が出ると、それ以前の「それ」が無かった時代のことが想像できなくなるのが人の常です。
エレキギターの奏法ではエディ・ヴァン・ヘイレンのライトハンド奏法、イングヴェイの登場による「イングヴェイ以降」という言葉。
推理小説では、綾辻行人がデビューしてからの新本格派隆盛の「綾辻以降」という言葉。。
秀吉も家康も現代の私達も、まさに信長のやった画期的なことを「新たな常識」と捉えている「信長以降」の常識に生きていることを痛感させられる一冊です。
やはり面白いが古代あたりからはパワーダウン? 2005-07-09
好きなシリーズなので文庫がでたら殆ど惰性で買い続けている。
古代からはじまり鎌倉辺りまではとても面白かったのだが、
室町あたりから(私の興味もあって)ややマンネリ?気味。
実は素人には歴史学は見えにくくて、どこまでは100%ファクト
で、どこからが推論に基づくものなかが分りにくいのです。
少なくとも「間違いなく事実」「ほぼ事実認定」「異説あり」
「ガセ」ぐらいを、有名トピックスや史料由緒ごとに確からしさを
スコアリングして総覧解説をだれが編纂してほしい。
啓蒙書レベルでいいから。
本シリーズも要は「間違いなく事実」といわれているものへの
画期的な新設提示なのか、もともと「異説有り」レベルの史実・史料
へのまさに異説紹介だけのものなのか???なのだ。
古代あたりはさすがにほとんどが「推論」だろうから純粋に「ロマン」と
して、いわば答えのない謎解きゲームにのれたのだが、時代が降りるに
つれ、なまじっか史料もリアルさが増してくるんで、その程度を鑑みな
いと興ざめするのではなかろうか。
砂の上にまた砂を 2005-06-09
今日起こったことの解釈も随分別れるもんですねえ。
あのね、今日職場の花瓶が割れたんですけどね、近くに二人いてかたっぽが引っ張ったとか、いや違うもうかたっぽが押しちゃっただとかで意見がまとまらなかったんですよね。いやあ、難しいもんだなあと思って。
それでね、歴史ももっともそれらしいものを選ぶけど間違ってるかもしれないし、でもある種類のひとたちにとってはなくてはならないもんだしで、ゆかねばならぬ大海を、の精神ですね。
それをストレスと感じないで楽しめるのは、まさしく歴史好きな人なのでしょうけど、さらにそこに逆説ということで一ひねり加えてるんだからほんとに歴史好きな人にしか勧められない。歴史から何かを得てやろうってな人には向かないと思います。
おれはそんな砂上の楼閣の上にもひとつ砂でなんか作るようなのが、どうにもこうにもつまらなくなってしまったのでやめにしました。本業の話ですが。歴史でなく物語を好きだと気づいたのは学業も中ほどになってからでしたよ。こんな恋愛ものみたいな結末を迎えるとは思わなかった。好きだと思っていた人のことは実は好きじゃなくてその人のから時々少し見える違う人のことが好きなんだって。壮大にギャグな人生のひと転びだ。
それでもこの本を読めば、いや別の巻でもいいのだけれど歴史の教科書を休み時間に読んでいた、中学高校あたりの頃を思い出すのでした。
ところで、花瓶の件で一番問題なのは割れた瞬間に小笠原さん(仮名)が「かびーん」って言ったことです。過敏でしょうか?
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