補給戦―何が勝敗を決定するのか
マーチン・ファン クレフェルト
中央公論新社 刊
発売日 2006-05
歴史に学ぶ 2007-01-28
補給は戦争の要諦です。
とかく地味なパートではありますが、とかく物資を消費してなんぼの現代戦では補給がないと始まらない。
現代といっても21世紀の今日のことではなく、第2次大戦の当時からそうでした。
いやいや、戦線と本国の距離が開きがちになる大陸国家では、それよりも遙かに前から戦いにおける至上命題でした。
歴史を振り返ると、補給を顧みずに前へ前へと突き進んだケースでは、ことごとく負けていることが多いように思います。兵器の高度化が加速度的に進んでいる今日では、補給の重要度は上がりこそすれ下がることはありません。
飛ばない飛行機、走らない戦車なんて持っていても張子の虎にすらなりません。
それを逆手に取って、長期化させることに成功すれば、正面きって勝てない相手でも、なんとか勝てる(あるいは引き分ける)可能性はあるのかなと思いました。
ロンメルとマルタ島 2006-11-23
ロンメルのドイツ・アフリカ軍団は、マルタ島が頑張って補給線をズタズタにしたために負けた、という説がまかりとおっているようです。本書の著者はまっこうからこれを否定しています。
イタリアの輸送船が無事に到着しても、トリポリ港の荷揚げ能力に制約があった。さらにロンメルがとっとと進撃したためにトリポリからの距離が長くなって、トラック輸送の限界を超えた。そんなことは最初からわかっていたのに、ロンメルはアホや。
トブルクの占領が重要であったかに言われているが、トブルクはそもそもエジプトから飛んでくる英空軍の制空権下にあるため、陸揚げも邪魔されるわ、輸送する途中で船も沈められるわで、重要じゃなかった。つまるところロンメルがアホやった。
著者はばっさり切り捨てる。
もちろん当時・現場でいろいろな情報が錯綜し、ムッソリーニやヒトラーが勝手なことを言う中での判断は、それなりに難しいものがあったでしょうから、単にロンメルがアホや、ではかわいそうかなとも思いますが、論理だてていうと、著者の言うとおりなのでしょうね。
マルタ重要説は誰が言い出したのでしょう??
プロは戦争を兵站から考えます 2006-11-03
兵站を本格的に考察した書籍で日本語で読めるものはほとんどありません。
防衛研究所の平間さんは本著のあとがきで、そういう本はこれとあと1冊くらいしかないとおっしゃっています。
そんな数少ない1冊であるこの著が、このたび復刻されました。
大変価値あることと言えます。
著者はイスラエルの大学教授で、兵站の専門家です。
プロは戦争を兵站から考えます。
読み応えのある解説 2006-07-15
古典的名著の復活もさることながら、この本が中央公論新社から発売された最大のポイントは巻末に付されている石津朋之氏の解説論文である。翻訳の内容そのものは原書房から出版されていたものとまったく変わっておらず、おそらく誤訳であろう文章も散見される。だが石津氏の解説論文はその誤訳を訂正したうえクレフェルトの主張を簡潔に整理、それに加えてクレフェルトのその他の著作を総合して「マーチン・ファン・クレフェルトとその戦争観」という非常に読み応えのある解説を行っている。新書にこの値段は少々高いと思うが、石津氏のこの解説論文だけでもこの値段を払う価値がある。絶対おすすめ、一押しの軍事関連本である。
英語にかなりの自負がない方はこの邦訳を... 2006-07-01
長らく翻訳本の絶版が続き、読みたくても読めなかった幻の本の
復刊には本当に助かりました。
また絶版になるのが明らかなので、すぐに買うべきですね。
それでも読みたかった私は、原書に手を出したのですが、全く
読み進めずに、1ページも進めずに通勤電車・布団の中で睡眠
玉砕する毎日が続きました。
邦訳を読んで納得です!
「補給」という概念で戦いを見てこなかった素人にはあまりにも
高尚な内容なのですね。日本語で読んでも、まだ私はピンと来て
いないので、何度か読み直さないと駄目みたいです。
私は元々輜重兵に興味があり、資料が無いかな?と思っていました。
今の仕事も生産管理、輜重兵みたいなもんで、仕事にもそのまま
活用できそうです。
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