「仮面ライダー響鬼」の事情―ドキュメントヒーローはどう〈設定〉されたのか
片岡 力
五月書房 刊
発売日 2007-04
全身で企画に取り組んだ著者の姿勢 2007-05-18
これは考えられがちな暴露本などではなく、とても著者の誠実であろうという姿勢を感じた。
「響鬼」という名前、太鼓を叩いて敵を倒すという発想・・・それら番組の画期的だった部分が著者によるものであるということ、そして太鼓を実際に習うなど、損得抜きで文字通り全身で企画に取り組んだ著者の姿勢(かつて「巨人の星」の担当編集者が川崎のぼる相手に実際にフォークボールを投げてみせたという逸話を想起)には感銘を受けた。
現行作品もむろん魅力的だが企画段階のいろんな方向性としての「こうであったら」と思う瞬間が本の中にいくつもあり、興奮した。とかく論議の対象となりがちだった響鬼の展開だが答えはひとつと決めてかかるのではなく、いろんな可能性を示唆してくれる本。
その著者である片岡力さんをゲストに迎えたネットラジオをUPしました。
本の成立の経緯、響鬼という番組についてなど、熱いトークになっています。
ひとつの企画が成立するまでの経緯をここまで時系列を追って克明に書いた本は他にないと思います!
キリミヤシネマラジオ
〜切通理作と宮川ひろみの映画館〜
http://www.voiceblog.jp/miyagawa/
※上記のネットラジオはスポンサー抜きのまったくの非営利ですので商業行為の宣伝にはあたらないと考えております。この著者と純粋に話したいと思ってのボイス収録だったことをご理解くだされば幸いです。
平成ライダーの楽屋裏 2007-05-09
本書は、特撮ヒーロー番組『仮面ライダー響鬼』の企画段階から放送直前まで物語の基本設定作りに携わったライター兼エディターの回想記(?)だ。当初『響鬼』が仮面ライダーとは全く別の新しいヒーロー物として構想されていたこと、それがスポンサーサイドの強権発動で覆されて木に竹を接ぐようにして『仮面ライダー』になったことなど、数々の興味深い内幕が綴られている。「完全新生」を謳った内実がこんなものだったとは……!
確かに『響鬼』はあまりにも異色なライダーだったが、これなら納得がいくというもの。
著者の後書きによると本書は製作会社である東映の反対を押し切る形で出版に至ったという。「本書の刊行によって、東映作品がらみの仕事が来ることはまず、なくなった。ということは、特撮ライターとしての命脈を事実上絶たれたことになる。」とは著者の弁だが、本当にそうだろうか? 番組制作の楽屋裏を公開されて東映に喜ぶ理由はないにしろ、別にダメージも大してなかろうというのが読後の感想だ。東映がそんなに狭量な会社でないことを祈りたい。
正直なところ、諸々の制約を受けて読み物としては中途半端な内容になってしまっていると思うが、現在のキャラクタービジネスの一端を窺い知るに有益な素材だ。
「仮面ライダー響鬼」ができるまで 2007-04-30
その外観はもちろん、物語的にも異色のライダー「響鬼」。
物語途中でのプロデューサー交代及び作風の変化という、最近の特撮では稀な事態が生じた
ことが記憶に新しく、ネット上の特撮スレでは、今でもその賛否に少し触れただけで大荒れと
なることが多いようです。この本は、タイトルだけ見ると、一見、その真相に迫る本又は当時
の内情暴露本かとも思ってしまいますが、サブタイトルにもあるように、この異色のライダー
がどのように設定されていったかを、作品のコンセプトやライダー及び敵側の設定、一年を通
しての大まかなストーリーラインを作る「文芸チーム」の一員として番組放映前まで関わった
著者が詳細に綴った東映"非"公認の本です。
非仮面ライダーとして「変身忍者嵐」をモチーフに練られ始めた企画、敵の存在や人を襲う
理由などの理屈づけ(当初はかなりSFチックだった!)、音で敵を倒す「音撃」の設定過程、そし
て配役決定に至るまでが記されており、かなり読み応えがあります。また、「こういうのも見
てみたかったな」と思わせてくれるような没プロットや設定も(文字のみですが)多数収録され
ているほか、打合せの場面からは当時の制作サイド、スポンサーサイド及び放映サイドの思惑
等もうかがえ、響鬼という件の作品だからこその大変興味深い内容となっています。
ただし、響鬼は好きだが、制作側の実情等には興味なしという方にはお勧めできないので、
星4つとしました。
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