阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊)
魯 迅
岩波書店 刊
発売日 1981-01
誰の中にも存在する阿Q 2006-11-14
阿Qは当時の中国人の内面をモデル化したものというのは
万人が知るところであります、
しかし、私がこの本を読んで何よりも衝撃だったことは、
私の中にも阿Qは存在するということでした。
全てを自分の都合のいいように考え、そのくせ人に誇れる
ような努力はせず、他人に愛を与えることをせず愛を乞う
ばかりの滑稽で哀れな存在。
青春時代の私はまさに阿Qそのものでした。
毛沢東が唯一認めた文人魯迅。 2005-06-09
文化大革命ですべての文化という文化は排斥されたと言われています。ただそんな中にも例外といえる人物がおります。その一人が魯迅です。ただ、他に助かった作家は、もはや作家としては死んだも同然でありました。だから、実質は魯迅ぐらいと言えるかもしれません。ではなぜ魯迅が、というと。中国的封建制の根本は、一足飛びでさかのぼると、儒学。つまりは孔子にいきつくといえます。魯迅は中国的封建制を批判していたわけですが、つまり毛沢東からすれば魯迅が徹底的に孔子をたたいたとみなして、魯迅は助かりました。
内容としては、現代中国社会にもおそらくおおいにあてはまるであろうことがかかれています。日本にいるとどうしても、そのあたりの感覚が鈍りがちになってしまいます。しかし、たかだか何十年程度で国民性は変わるものではありません。反日デモや反日教育など中国のそのあたりの動きは非常に気になります。そのあたりも踏まえて、あえて今。読むとおもしろいかと思います。
魯迅の処女作であり、中国の近代文学の出発点となった作品 2004-10-17
魯迅の処女作であり、中国の近代文学の出発点となった作品である。
中国の古い封建的な社会制度の中で暮らす人々に対して、「狂人」が異常を感じる。
「狂人」は他のものすべてが、自分を監視していると感じている。
その社会における常識と、新しい目、世界から見た常識が交錯し、常に相容れずに結末を迎えている。
文学と革命の可能性 2003-02-25
封建的社会こそ中国の病原体だと感じた魯迅、本作はそのような理不尽で不条理な世界を描いたものである。
映画「イージーライダー」で主人公達が最後、理不尽な死を迎え、現代では世界中にその理不尽さと不条理の種をばらまいているアメリカの内部における不条理さを表していたが、この小説はまさに小説全体が「イージーライダーのラスト」といった印象であった。
魯迅は生涯を通じて長編を書くことなかったが、見事な短編・中編を残し、「文学と革命」の可能性を模索し世に示しながら革命の中で倒れていったのである。
自分と世界の視点の不思議 2002-09-16
「阿Q正伝」は衝撃的な作品である。なにより、その「全てを自分にとってプラスな出来事にかえてしまう」という能力には震撼させられる。なぜなら、たとえ誰かが彼を見下し、暴力によって従えようとしても、彼はそれに何の影響も与えられないからである 落ち込むこともなく、敗北することもない。そんな阿Qを見ていると、世の中の意見など、とるに足らないことであり、自分の見る世界こそが全てなのだと思わされる。「狂人日記」はこれまた問題作で、精神を病んだものの心がこれほどはっきりと、そして正確に描かれたことが不思議なくらいである。なによりも既に病人は完治しているというのが読んでいて安心させられる。魯迅の小説は、とても分かりにくい部分も持っているし、時代特有の偏った部分も持ち合わせている。しかし、その筆は人間の本質を鋭いタッチで描いており、ハッとさせられる。
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