世界でもっとも美しい10の科学実験
ロバート・P・クリース
日経BP社 刊
発売日 2006-09-14
科学の実験は、芸術であり、職人芸である 2007-06-11
書名に惹かれて手にとって見た。著者のクリースは初めてだが、訳者の青木氏はサイモン・シンの『暗号解読』を読んだことがある。原著の内容を十分咀嚼した上で訳出されているので、ちゃんとわかる日本語になっているのがよい。
さて本書は、科学雑誌で募集した「美しい実験」で上位にランキングされたものを、その実験方法や実験者の人となり、当時の社会背景などを織り交ぜながら、科学の実験の「美しさ」を考察するものである。
取り上げられている実験は、
・ガリレオのピサの斜塔の実験 →重さに関わらず落下の速度は同じ
・ニュートンのプリズムの実験 →白い光は多数の色の集まりであることを証明
・ヤングの二重スリットの実験 →光は波であることを証明
などなど。それまでの社会の常識を変えたエポックメイキングな実験ばかりで、科学史としてもたいへん興味深く読める。
主題である「実験の美しさ」とはなにか。
ひとつは、科学の実験は職人芸のようなものである、ということ。注意深くノイズを取り除かなければ対象の真の姿は見えない。材料があれば誰にでもできる、というものではない。もうひとつは、シンプルで直感的な実験を考案するのは、それ自体が芸術と同様、属人的な創造的行為である、ということ。
中世までは科学者のことを自然哲学者といった。哲学と宗教と科学は(日本では全く意識されないが)西欧では非常に密接な関係をもっていて、例えば、学校で進化論を教えるのはいかがなものか、というような議論があるように、いまでもなおせめぎ合っている。科学の「美しさ」もその背後にはアリストテレス以来の論争があるようで、その深さに感じ入った。
美しい科学実験とは? 2007-04-07
中学〜高校の科学(物理)知識があれば、本書で取り上げられている科学実験のほとんどを
理解できます。
ガリレオ、ニュートン、フーコーなど単に教科書では現象の科学的説明と法則の導出に
とどまっていたものが本書により、時代背景から主人公の生い立ち、その実験を
しなければならなかった必然などがストーリーとしても面白く読めます。
特に実験系に携わっている人なら、美しい実験と言われてイメージするものが
あるかと思いますが、本書には過去の偉大な実験の中でも特に代表的なものが
取り上げられており、科学の広がりと奥深さを感じることができるのではないかと
思います。
前半部の実験は小学生からでも読んで理解が可能であり、また理系の大学生であれば
科学実験の美しさの一端に触れるためにも、全般を通読していただきたいと思います。
お勧めの書です。
科学好きにはたまらない 2007-02-08
書名もGood.内容もGood.
著者が雑誌でアンケートをとった結果を参考に10の科学実験を紹介する内容.
ほとんどが物理実験なので,
私のような初心者のために各実験の説明をもっと丁寧にして欲しかったですが,
各章末に設けられたコラムが非常に有意義で面白いです.
コラムは,科学的思考を紐解いてみる内容で,「うんうん」とすぐに納得できるほど
わかりやすいです.
数学,物理ができなくても読めます.読むべし.
実験からはじまる、、、 2006-12-14
ここに登場するあらゆる人物はわたくしたちとおなじ
少年時代をすごし、ちょっとへんかなーなんて思われている
そんなこどもだった天才異才をうまく育てていったこの興味
という実験はときに怪我をしたりそれを諦める人もでてくるわけだが
そんなことをいとわずにつづけていたそれが、すばらしい
科学実験へとむすびついていった。
科学を知らなくてもページをめくると、そこには
いままで知らなかった宝物のありかをおしえてくれるようで
痛快な一冊である。ぜひお薦めしたい。
「科学はおもしろい!」と思わせてくれる本 2006-12-06
昨今、日本における科学教育レベルの低下が言われて久しい。
工学部の人気低下も著しく、国立大学の工学部系でさえ、いまや比較的入りやすいと言われる程度になっている。
確かに、自分の教わった何十年か前の学校の化学や物理の授業もあまりおもしろいものでなかった。
ところが、この本に提示された「美しい」科学実験は、本当にわくわくさせるものばかりである。
いまや、常識と言われる科学の体系もこのような努力の結果得られたものであるとは、恥ずかしながらほとんどと言っていいほど知らなかった。
かくいう私も文系であるが、この本にあるような科学実験を追体験すれば、科学に対する思い入れも、今とは相当に違ったものになったのではないかと思わせる。
学校で教わった、いわゆる「知識」は、このような先人たちの血と汗と涙の努力の結果であるし、授業で生徒たちに追体験をさせることができれば(そのようなレベルを遙かに超えた職人技が多いことも記載されてはいるが)、今よりももっと多くの科学技術者たちが生まれてくるのではないかと思わせるような本である。
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