シュリーマン旅行記清国・日本
H.シュリーマン /石井 和子
講談社 刊
発売日 1998-04
自らで育んできた文化はどこへ・・・。 2007-02-24
まず何よりも日本人でもなく、過去につきあいの長かったアジア系の国の人でもなく、
ヨーロッパという全く文化の異なる国の人による江戸時代の描写というのは非常に
貴重である。さらにシュリーマンは数多くの国を訪れた経験があり、話す言語も各国の間
を行き来しやすくなり、学ぶ機会が増えた今でさえそんなに話せるのかと思うほど多言語
を話すことができ、異文化に触れることになれた人である。そのような貴重な資料が手軽に
読めることにまず感謝したい。
シュリーマンは奇異に感じたことはばっさりと批判しているが、だからといって中国の文化を
すべて否定するわけではなく、劇場での劇のすばらしさ長城から見た景色の雄大さは世界でも
一番だとしている。文化に体当たりで触れてみて素直に自分の育ってきた文化との違いや感情
を表現している点が、彼の視点からのありのままのアジア文化を表現していておもしろい。
日本はその清潔さもあり批判的、否定的な記述はほとんどなくべた褒めされているような気分に
なり少し嬉しかった・・・が何とも皮肉なことに褒められた当時の文化は今の押しつけられた
文化ではなく、自分たちで長年育んできたありのままの日本だということがいかに現在の日本が
文化的に廃れてしまったか、とうことを認識させた。
それに関連して西洋文化を結婚までも”モノ”に支配されていると批判している点は非常に
興味深い。日本があまりの家財道具や土地等のいわゆる”モノ”を必要とせず、かといって
芝居や工芸品はよいものがあり、人々が豊かに生活していることに強い衝撃を受けたのだろう。
シュリーマンは不正確なものもあるが数字を使い身の回りのものを記述している。
それは自らの記憶を鮮明にしたかったのか、考古学的にも数字で記述しておいた方が後生の役に
たつと考えたのか、どちらにせよそれにより現実味をおびている。
読んでいてちょっと嬉しくなった 2007-02-09
家の近くの古本屋で見つけて購入した。
トロイの遺跡で有名なシュリーマンが日本に来ていたとは不勉強で知らなかった。江戸時代の終わりに 中国を経て 日本に来ていたのだ。
シュリーマンは日本を非常に好意的に書き出している。それは その前によってきた中国(上海)と比較してもはっきりしている。シュリーマンが書き出す日本は 清潔で勤勉な国である。そんな日本人の末裔としては いささかうれしくなったものだ。この本が日本で翻訳され 読まれるとしたら 日本人として読んでいてうれしくなるからではないか。
そんなふうに思った。
観察のポイントが独特で面白い 2006-07-12
シュリーマンは語学の天才で、トロイア&ミケナイを発掘した偉人として知られる人物。彼が清国と幕末日本の様子を、なんとフランス語で書いたのがこの本だ。
当時の馬がわらじを履いていたという衝撃の記述も楽しいが、最も面白かったのは、やたらに数字が沢山出て来るところだ。
商品の値段が何フランだったか、何時間・合計何マイル歩いてどこに到達したか、役人や足軽が何人か、城壁の高さは何メートルか、石の重さはいくらか、境内の広さ、船の竹竿の間隔、畳の大きさなど、どうやって知ったのか不思議だが、細かく数字で記述されていて、観察のポイントが、他の”幕末外国人訪問記”とは異なっており、独特で面白い。
正直、細かすぎる位なのだが、逆にこれほど正確に観察しメモを取るような人物だからこそ、後に古代文明を発掘できたのだなぁと思った。
江戸時代馬はわらじを履いていたらしい。70へー 2006-06-18
シュリーマンは、私にとって高校時代からのあこがれの存在で
ありました。シュリーマンは、けして恵まれた環境に育ったわけでは
ありませんが、驚異の語学力の才能を発揮し、ある国の言葉を
話したり、書いたりするのに6週間あれば十分で、語学力を
商売に生かし41歳で事業を引退するまでに遺跡発掘の資金
をため、少年のころの夢であるトロイア発掘を成功させた人
物でした。
私が、シュリーマンを知ったのは、『古代への熱情』を読んで
ですが、まさか、シュリーマンが幕末の日本に来ていたとは
知りませんでした。
シュリーマンの日本滞在は、1865年6月1日よりおよそ
1ヶ月の短いものですが、幕末の江戸の文化を知る上で
すぐれた資料となっています。そして、シュリーマンの卓越した
感性が伝えてくれた内容は、日本が明治維新にどうして成功
できたのかを窺わせるものでした。
シュリーマンは、日本滞在前に、清国へも旅行していますが、
日本に対しては、好意的で、蒸気機関の文明以前
としては、最高水準のもの、清潔な住まい、アジアの国々では
女達が完全に無知なのに対して日本の女達は『かな』や漢字で
読み書きができる。などと評価しています。
その後、世界旅行で英気を蓄えたシュリーマンは、考古学の
勉強をしてトロイア発掘を成功させるのです。
【シュリーマンが日本滞在で行った場所】
手工芸の町八王子
江戸の町
浅草浅草寺
王子の茶屋
等々
チョット気になったのは
この時代の馬はわらじを履いていたらしい。70へーかな
(時代劇の馬がわらじを履いていたためしはないが?)
清国では、『街中がぞっとするほど不潔で..全裸同然の屑やを
よく見かける。...ぞっとする光景だが、飢えた犬の群れが
糞集めの人夫の目を盗んで、自分の糞や馬糞をむさぼり食って
いる』と言う記述にも興味を引かれた。
文句なしに面白い! 2006-06-09
江戸時代末期の日本の様子が実に生々しく描写されている。
まるでこちらも居合わせたかのような錯覚に陥る臨場感である。
そして色々なものを観察されている中で驚くのは、記述に数字
(支払った金額や、建物や道具の大きさなど)が
こと細かく記されており、ものの材質や文化的な背景、言語などが几帳面に記録されている
ことである。(オハイオ、テンポー、サイナラ、ノリモンなど。)
読むだけでタイムスリップ、日本人のルーツを辿ることができます。
最後に、面白かった表現を。
人足→苦力
下駄→親指でしっかり固定された木のサンダル
草鞋→藁のサンダル
蓑→藁のマント
足袋→手袋の形をした布製の靴下
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