ホテルカルフォリニア (上)
すぎむら しんいち
ベストセラーズ 刊
発売日 1999-04
まるでよくできた映画みたい、というのはこの作品を読んだ人なら誰もが感じることだろう。インパクトのある出だし、意外な事件が連発する中盤、そして見事な大団円。頭から終わりまでエンターテイメントに徹した快作である。初出は1992年で、本書はその愛蔵版。
舞台は北海道のとんでもない山奥の、開業を間近に控えたリゾートホテル。土砂崩れと社長の失踪によって、従業員たちが外界から完全に孤立。人里離れているのに環境は超豪華という奇妙な環境での共同生活が始まり、物語はごろごろと思いもよらない方向へと転がっていく。従業員たちはコスプレを始めて人の言うことを聞かないわ、借金を取り立てに来たヤクザは銃をぶっ放すわ、クマは徘徊するわ、鎧武者が出没するわ。
ストーリー進行はきわめて軽快。一瞬たりとも退屈することなく、テンポよく読み進めていくことができる。そしてともすればめちゃくちゃになってしまいそうな展開を積み上げて、立ち上がって拍手を送りたくなるようなラストへとなだれ込んでいく。
すぎむらしんいちの作画には若干クセがある。しかし、ユーモラスでパッと見たら忘れられない個性でもある。そしてドタバタしたストーリーを構成する力は現代漫画界でもトップクラスといってもいいだろう。それを支えているのが演出の巧みさ。大胆に構図を使い分け、インパクトのある画面をつくりだしていて、何度読んでも読み飽きない。読まずに済ますのはもったいなさすぎな傑作。(芝田隆広)
ああ、青春 2005-01-10
閉鎖的な環境ですけど、
なんとなく憧れるんですよね。すぎむらワールド。
どいつもこいつもアクが強すぎ。
住人になりたくなるのは、私だけじゃないと思う。
ホテル~もそうです。
元風俗嬢、ヤンキー上がり、やくざやさん、メタルねえちゃん、純粋なコ、他。
職場じゃないと絶対かかわり合いがないだろうってのが、共同生活を送るハメに。ドタバタ劇の最後の切なさもいい。
個人的には風俗嬢上がりの伊東がお気に入り♪
世界最強! 2004-01-23
この時点で、すでにガイリッチーを超えている。
終わって欲しくないドラマが展開される漫画 2001-12-14
帯についていた、安野モヨコ、大友克洋推薦とあったのを信じて買いました。
両氏の推薦は、まったくその通りだと読み進めながら感じた納得の一冊です。
映画や本でごくごくたまに出会すことのできる「このストーリーが終わらずにいつまでも続いて欲しい」という感覚が味わえます。
あまりにも新しい! 2001-12-13
帯に安野モヨコと大友克洋の推薦文があったので買いました。
10年前の漫画とは思えない、斬新さ。本物はいつまでも新しくあり続ける…などと思いました。矢口史靖の映画にも通ずるような笑える不幸の連続に、徹夜確実。このボリュームも、いいにくいタイトルも、いい(カリフォルニアでなくカルフォリニアです)。
初すぎむらしんいち体験でしたが、これ以降、次々と彼の作品を読んでいます。短編も長編もどれも緻密で、わくわくする展開、あっけない終わり方…絶妙です。
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