パルプ
チャールズ ブコウスキー
学習研究社 刊
発売日 1995-11
「壊れ」の表象、野蛮な前衛 2006-11-02
今の社会・文化で重要なのは、詩人の平出隆風にいえば「壊れ」だろう。ただ、私は、単なる人間性・人権・平和等の否定は支持しない。「壊れ」をどう表象するか。多くの作品があるが、前述通り、単なる暴力その他の列挙は評価できない。
小説で最も重要な一人が、詩人でもあるC・ブコウスキーだろう。日本では、急逝の直前ぐらいから注目され出した。日本社会の悪化と連動していたともいえる。
本書は94年の作品。小説としては遺作。内容はある意味で無茶苦茶。いい加減な私立探偵が複数の依頼を受けるが、死んだ筈の作家のセリーヌを探せとか、「赤い雀」を探せといったものだ。
かつてのパルプ誌のパロディであり、探偵小説の構造にジャンクな諸─要素を埋め込んだもの。一種「野蛮な前衛」だが、J・エルロイよりはやはり「文学」的性向がある。作中にセリーヌが登場し、地の文でもセリーヌ的述懐が続く等、セリーヌの読者として興味深い。
前述通り、小説での「壊れ」の表象としての重要作だろう。実際、多くの影響を与えていると思える。特に日本の高橋源一郎等にとっては、一つの転換点となった作品なのだろう。
とにかく面白い 2005-06-22
まるで映画を見ているようで、コメディー、アクション、セックス満載。男の本と言えるでしょう。Bukowski独特の味も出ています。ハリウッドやイギリス映画の好きな方におすすめです。
退屈でしょうがないあなたへ 2004-10-05
芸術?純文学?そんなものは退屈でクソくらえだ!と思っている人は是非この本を読んでみてください。文学の本当の面白さとは何か、ということを教えてくれるでしょう。TVでオンエアされている三流コメディよりもよっぽど笑えます。
愉快さの裏のもの悲しさが魅力 2003-08-06
最初に読んだブコウスキー作品がこれだった。
ダメ探偵が、成り行きまかせで二つの事件の真相へとぐいぐい迫って行く過程は、
従来の探偵小説とは一線を画していたし、シーンのひとつひとつも爆笑モノだった。
最初の一回は、げらげら笑いながら読んだ。
その後、他のブコウスキー作品を読み、「ああ、パルプも自伝的な要素が多いんだなあ」と実感。
そう思うと、ラストシーン付近のビレーンの言動が、いちいち寂しく感じられた。
それまでの作品ではパンクっぷり全開でツッパっていたブコウスキーも、
晩年はやはり、死を恐れ、後悔に頭をさいなまれていたのだ。
「そういう泣きごとを言いたかったから、あえてフィクション仕立てなのかな」
と思うと、よけいにもの悲しく、愛おしい作品�!�。
お前が俺のキャンディーさ! 2003-07-01
ブコウスキー作品の中で、最も邦訳が素晴らしい。私が最初に読んだブコウスキーはこれだったが、すぐに気に入った。随所のおバカなエピソードが見たくなって何回も読み返してしまった。
自称スーパー探偵のニック・ビレーンは仕事もせずに、毎日行くのは競馬場ばかり。大家に家賃を迫られればパンチと膝蹴りで返り討ち。(!)それでも何故か事件はうまく収まっていく。もうしっちゃかめっちゃかだ。
深く考えるのはやめて、寝そべって読むのが良い。
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