ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる
藤原 治
朝日新聞社出版局 刊
発売日 2007-02
10年後のメディアとネットが融合した世界を読み解く。とても奥が深く、本書をきっかけに議論を深めるべき。 2007-06-05
今後起きると言われるメディアとネットの融合を読み解き、著者は、本書で以下の仮説を提示する。
●2011年のテレビ地上波の完全デジタル化以降、本格的なメディアとネットの「融合」が、「eプラットフォーム」において実現する。
●「eプラットフォーム」では、様々なコンテンツが融合し、端末は何であれ生活者は自分のほしい情報にアクセスできる。
●既存メディア各社はコンテンツプロバイダに後退し、コンタンツ間の熾烈な競争が起きる。
●「eプラットフォーム」におけるコンテンツ管理の覇権をテレビ、新聞、ネット、通信の各プレイヤーが争う。
要するにコンテンツの完全デジタル化によって、媒体特性を超えて各社の持つコンテンツが融合し、
eプラットフォーム(巨大なコンテンツサーバ、或いはインターネットそのものといってもよいかもしれない)から、
生活者は、端末が何であれ、好きなときに好きなコンテンツにアクセスできる環境が整うということだ。
本書執筆のスタンスが、どちらかといえば媒体企業や広告代理店であるため、eプラットフォームのポジションに最も近いグーグルに代表される所謂ネット企業に対して、
いかに対抗していくべきかという視点にたっており、業界関係者にとっては一読の価値があるのではないか。
著者自身が本書のあとがきにおいて認めるとおり、相当猛勉強して執筆したとのことだが、
現在起きていることの延長線上における未来像に終始しており、個人的にはメディアとネットの未来像は、このような世界にはならないと思う。
本書をきっかけに、多様なバックグラウンドをもった人々が百家争鳴し、議論を深めていくべきであろう。
ホリエモンの言う「メディアとネットの融合」とは何かを示した本 2007-02-25
ネット社会がもたらす構造変化を論じたものとしては、あの「ウェブ進化論」などと同種のもの。ただ、既存メディアの雄ともいえる電通出身の著者の目から見た近未来の分析というのが興味深い。
2011年のテレビ地上波の完全デジタル化が、我々の考えている以上に劇的な変化をもたらすことを提示し、現状分析を行った上で、その行く末を大胆に予測する。ホリエモンが盛んに言っていた「メディアとネットの融合」というのは、具体的に何かということが本書に示されている。
特に広告に関して「スペースを取る、埋める」といった概念が、ネット社会ではまったく意味をなさなくなるという指摘はインパクトがあった。新聞やテレビという既存の大メディアの問題点についても、豊富なデータや資料に基づいてリサーチされているので、こちらの方も面白い。
さまざまな規制によって守られてきた第四の権力「マスコミ」にも、いよいよ本格的な変革の時が訪れるということをひしひしと感じさせられた。
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