下流喰い―消費者金融の実態
須田 慎一郎
筑摩書房 刊
発売日 2006-09
高利貸しが生まれる理由 2007-04-22
お金を借りなければ生活(生きていけない)できない理由のひとつに資本主義があげられる。
おおよその日本人には資本主義は正しいものと理解されているが、そこが勘違いの始まりなのである。
資本主義は金持ちがこの世を支配する社会である。
資金や経験がゼロベースから始まる事業であれは規制というルールが介入することで誰もが平等に参加できる。が、これは本書にも記され、これからはもっと顕著になるだろうが、昨今の規制緩和や新自由主義の跋扈で大手が一人勝ちしていることが理解できよう。金と資源をもっているものが最終的には勝つからだ。
本書では消費社会に目を向けているが供給側とて同じなのだ。
消費者は資本主義社会の最底辺に位置し、情報においても消費者側は不利になる。供給側は正しい情報を与えようとはせず、自らが儲かる情報だけを垂れ流す。
借りた金を返せるあては次なる消費を繰り返さないことだが、「消費者金融」と名がつくだけの理由がここにあるのだ。供給側がだまって指をくわえていることはないだろう。
金は低きから高きに流れる。借入金とておなじことなのだ。
「美しい国」を目指すならまず読んで欲しい 2007-03-29
消費者金融の実態、なんとなく危なそうぐらいにしか知らなかったが、そんなもんじゃなくはっきりと危ないと自覚した。
著者が「悪魔的ビジネスモデル」というのも納得だ。
相変わらず、「最高金利を下げるとヤミ金に・・・」とかふてぶてしく言う消費者金融の奴等はどうにかならないのだろうか。
ついでに言えば、金のためにこんな企業のCMに出演する芸能人はどういう魂胆だろうか。
安倍首相は、「美しい国」を目指すならば、まずこの本を読んで、有効な対策をきちっと講じて欲しい。
「お金」を作った人間は、それを使いこなせていないのか 2007-03-11
多重債務者が生まれ出てしまう仕組み、金利のグレーゾーンを生む法体系など、消費者金融業界に関する社会の実態が良くわかる。負のスパイラルに吸い込まれていくさまざまなエピソードが盛り込まれて、いわゆる怖い話が多いのだが、それに反証する情報を多く持たない一般読者は信じるしかないし、事実だと言う前提で知っていて良い内容だろう。物語性も高く一気に読めてしまう。
しかし、お金を貸す・借りるという行為に無縁でいられる人はほとんどいないのも実態だ。住宅ローン、教育ローンもそうだし、クレジットカードにしてもたとえ一回払いでも結局は借金だ。事業資金の融資を受けずに廻せる会社などほとんど無いはずだし、国や自治体がそもそも借金体質なのである。
「お金」というツールを生み出したのが人間であるにもかかわらず、その正しい使い方を完璧にコントロールすることが出来ないのもまた人間であるということを、改めて思い知らされた。
貸出しは、計画的に。 2007-03-02
本書で著者が端的に指摘している。
消費者金融業界が掲げるべきスローガンは「ご利用は、計画的に。」ではなく「貸出しは、計画的に。」であるべきだと。
この言葉は本書の趣旨をよく現している。
一見説得力のありそうな「大手消費者金融が、貸出し金利を下げる事になると、貸出しの査定がどうしても厳しくなり、借りられない人がいっそう闇金に流れ、さらに多重債務者が増える」といった主張は嘘で、大手消費者金融のグレーゾーンを利用した悪魔的な金利のロジックがそもそも闇金への入り口になっており、その入り口への誘い文句が「貸しますよ」であると本書は語る。
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